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公的年金制度は、現役世代が支払った保険料を高齢者などに年金給付という形で仕送りをしているように世代間で支えあっている仕組みです。
日本の公的年金は「国民皆年金」という特徴を持っており、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金(基礎年金)」と、会社などに勤務している人が加入する「厚生年金」の2階建てになっています。
一階建て部分の国民年金については種別が3つに分かれており、20歳以上の学生や自営業者など国民年金のみに加入している人(第一号被保険者)は毎月定額の保険料を自分で納めます。会社員や公務員で厚生年金や共済組合に加入している人(第二号被保険者)は、毎月定率の保険料を本人と事業主で折半して負担し、給料から天引きとなります。専業主婦など扶養されている人(第三号被保険者)は厚生年金や共済組合が保険料を負担しているので保険料を個別に納める必要はありません。加入する年金制度によって保険料や受け取る金額が変わります。
被保険者の種別 | 第1号被保険者 | 第2号被保険者 | 第3号被保険者 |
---|---|---|---|
職業 | 自営業者・学生・無職など | 会社員・公務員など | 専業主婦など |
加入する制度 | 国民年金のみ | 厚生年金 (国民年金の被保険者にもなる) | 国民年金のみ |
国民年金(基礎年金)は、日本に住んでいる20歳から60歳未満のすべての人が加入します。国民年金のみに加入する人(第1号被保険者)が月々納付する年金保険料は定額(2021年度時点で16,610円)です。
平成17年度(2005年度)から現在にかけて保険料が段階的に引き上げられています。
また、出産前後の一定期間の国民年金保険料が免除される制度が平成31年(2019年)4月から始まりました。
国民年金(基礎年金)の支給開始年齢は65歳で、納付した期間に応じて受給額が決定します。20歳から60歳の40年間すべて保険料を納付していれば、月額約6.5万円(2021年度)の満額を受給することができます。
厚生年金は、会社などに勤務している人が加入する年金です。保険料は月ごとの報酬に対して定率となっており、納付する額は給与や賞与の金額によって異なります。
また、厚生年金は事業主(勤務先)が保険料の半額を負担しており(労使折半)、実際の納付額は、給与明細などに記載されている保険料の倍額となります。
従来の支給開始年齢は60歳でしたが、段階的に引き上げられ、2025年度(女性2030年度)には65歳になります。
60歳以降、厚生年金に加入しながら(働きながら)受け取る老齢厚生年金を在職老齢年金といいます。
企業に勤めながら年金を受給する場合、年金額と月給・賞与額に応じて年金額が一部支給停止、または全額支給停止になる制度のことです。
現行では、「総報酬月額相当額」(月給・賞与額)と「在職老齢年金」の月額を合計して「28万円」を超えると年金が減額される仕組みになっています。
2022年の改正では65歳以降の人と同じ基準額「47万円」まで緩和されることになりました。70歳以降は、厚生年金の被保険者ではなくなりますが、「厚生年金保険の適用事業所」に勤めている場合は引き続き在職老齢年金による支給停止の対象になりえます。
女性や高齢者など雇用形態に関わらず社会保険(厚生年金保険・健康保険)の適用範囲が拡大されます。
施行時期 | 企業規模要件 |
---|---|
2022年10月 | 従業員101人以上の企業等 |
2024年10月 | 従業員51人以上の企業等 |
加入対象者の要件
要件 |
---|
週労働時間20時間以上 |
月額賃金8.8万円以上 |
勤務期間1年以上 |
学生適用除外 |
令和4年10月~ |
---|
変更なし |
変更なし |
勤務期間2か月超 |
変更なし |
老齢年金は、原則として、65歳から受け取ることができますが、現行制度では、希望すれば60歳から70歳の間で受給開始時期を選ぶことができます。65歳より早く受け取り始めた場合(繰上げ受給)には減額(最大30%減額)した年金を、65歳より遅く受け取り始めた場合(繰下げ受給)には増額(最大42%増額)した年金を、それぞれ生涯受け取ることができます。
高齢期の就労の拡大等を踏まえ、高齢者が自身の就労状況等に合わせて年金受給の方法を選択できるよう見直されます。繰下げ受給の上限を75歳(最大84%増額)に引き上げます。また、繰上げの減額率は最大24%減に縮小されます。この制度改正は、2022年4月から適用され、繰上げは昭和37年4月2日生まれ以降の方、繰下げは昭和27年4月2日生まれ以降の方が対象です。なお現在65歳からとなっている年金支給開始年齢の引き上げは行いません。
確定拠出年金制度(DC)とは、国民年金や厚生年金などの公的年金制度に上乗せして、拠出された掛金とその運用収益との合計額をもとに、将来の給付額が決定される年金制度です。
掛金を事業主が拠出する企業型DCと、加入者自身が拠出する個人型DC(iDeCo)があります。
公的年金制度改正にあわせて、高齢期の就労が拡大する中で長期化する高齢期の経済基盤の充実を図り、また、多くの企業や個人が制度を活用し老後所得を確保することができるよう改正が行われています。
【改正点】加入可能年齢
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
企業型DC | 65歳未満 | 70歳未満 |
iDeCo | 60歳未満 | 65歳未満 |
「公的年金」と聞くと、高齢になったときに受け取る老齢年金のイメージが強いですが、公的年金制度には、重度の障害を負ってしまったときに受け取ることができる「障害年金」と、被保険者の方が亡くなってしまったときに残された遺族が受け取ることができる「遺族年金」があります。
公的年金の給付を受けるためには、毎月の保険料を納付して、制度を支える義務をきちんと果たす必要があります。経済的な理由で国民年金保険料を納めることが難しい場合には、所定の手続きをおこなえば保険料の納付免除や猶予制度を利用することができます。
もし、毎月の保険料を納めず、保険料の納付免除や猶予制度も利用しなかった場合には、保険料未納となってしまい、年金を全く受け取れなくなるおそれがあります。老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金もある公的年金制度は、若い人にとっても関わりのある大事な制度です。年金は自分には関係ないこと、まだ先のことと思わず、正しい知識を身につけ、きちんと保険料を納付・手続きをすることが重要です。
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